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お盆特集 業界の将来の鍵を握る初盆需要 [宗教工芸新聞平成21年3月号]

昨年の死亡者数は百十四万人・初盆潜在需要は過去最高に!

厚生労働省が一月一日に発表した平成二十年の人口動態推計によれば死亡者数は百十四万三千人。平成十九年に比較すると五万四千人ほど多い死亡者数であった(平成十九年は約百八万九千人)。
 今年の七月・八月に初盆を迎えるのは、昨年のお盆以降今年の六月・七月頃に亡くなられた方が対象となるが、約百十万人が初盆を迎えることになる。終戦直後を除けば、戦後最大の初盆需要が生まれていることになる。
 仏壇店は五月に入るとお盆商戦に入るが、お盆商戦のメインとなるのは、初盆を迎える方でまだ仏壇をお持ちでない方への仏壇販売、そして盆提灯の販売ということになる。
 さて、お盆行事は各地で様々な特徴を持つが、多くの地域の仏壇店が「以前に比べてお盆行事は衰退している」と感じているのでないだろうか。
 お盆行事は元々、非常に手間の掛かる行事であったが最近ではどの地域でも簡素化している。昨年十二月、奈良県明日香の旧家で仏壇の取材をさせて頂いた時、お盆行事の話しもお聞きすることが出来たが、かつてのお盆の準備や当日の大変さは相当なものであった。
 仏壇店の仕事の一つは、お盆行事をお客様にどのように伝えて行くのか、ということにある。漠然と昨年通りの仏壇販売と盆提灯販売をしていたのでは、売上は減少するだろう。
 現実問題として死亡者の増加は初盆用品の販売増加に結びついていない。理由は、お盆を行う意味が次第に薄れているからだ。
 お盆は先祖の霊を迎える行事であり、このことは仏壇のお祀りの原点でもある。八木研(大阪)は昨年の秋彼岸、柳田國男の『先祖の話』に見える「仏壇は本来常設の魂棚に他ならぬのであった」という一文を引いた一面広告を朝日新聞に掲載した。
 仏壇が常設の魂棚であった、という柳田の説は、仏壇の機能と仏壇由来の一面を紹介するものだと思うが、一番肝心な点は「先祖にまつわる話」を業界としてどのように継続して行くのかということだ。
 現代社会において、先祖の話をすることは仏壇店どころか、寺院においても難しい作業になりつつある。先祖という言葉は一部の日本人の間では確実に死語になっている。
 ではどのようにすれば良いのか。そのヒントが初盆ある。初盆は亡くなった方を供養しながら、供養そのものを知って頂き、ご先祖様を感じてもらう絶好の機会だ。この機会を確実にお客様に体験してもらうことで、仏壇店はお客様との継続的な関係を築くべきだろう。
 すでにお盆行事をしている家庭の方は、今後もお盆行事を継続してゆくだろうが、お盆行事を体験せずに過ごす家庭の増加は業界縮小の要因となる。初盆の時、何か理由があってお盆行事をしないのではなく、お盆を知らずに、体験せず、夏を過ごす家庭に対して我々業界はもっと働きかけをして行かなくてはならない。
 初盆というサイクルは一周忌以内で、亡くなった方の思い出が鮮やかに蘇るだけに、お盆商戦の広告を行う仏壇店は、「はじめてのお盆」というタイトルで、お盆の迎え方を具体的に提案するべきだろう。
 盆提灯の灯りが子供時代の思い出になる、ということが仏壇店にとっての大切な仕事だ。盆提灯は照明具としても美しく、「はじめてのお盆」の方にも最適の商材だ。

我が社の取り組みを紹介します(御意見投稿) [宗教工芸新聞平成21年3月号]

違いを表現できる仏壇店が
    お客様から評価される時代に
 創作仏壇の翔栄(飯塚)の問題提起

小社は昨年末に福岡県知事より「経営革新承認書」を受けました。
 まず、経営革新とは何かということを説明させて頂きますと、「業界の抱える今日的課題に新たな取り組みで解決を図ること」で、「その取り組みを実施している企業を県知事が承認し支援する施策」の証書が「経営革新承認書」です。
 では今日的課題とは何でしょうか?
■海外製品が流通在庫の九十%を超えているのに、品質や原産国の表示義務が無いこと。
■模造品(例:高蒔絵で流通する殆ど全ては転写下絵にエポキシ樹脂系)の氾濫。
■仏壇の伝統技法、塗りや金箔、蒔絵の違いが一般ユーザーに全く分からない。
■伝統産業が衰退し、廃業や後継者難の状態に追いやられている。
 取得してみて、感じることは自分の目線が変わったと言うか、創業以来九年掛けて築いて来た生き残り戦略がこのタイミングで一気に光りだした、正直間に合ったと言う思いです。その前に、以上の課題に対して、どのように当社が取り組みを行っているのかを紹介したいと思います。
    ◇
 私が独立をした平成十二年当時、推定市場三十三万本に対し二十二万本の海外製品と言う状態でした。そこで、大手仏壇店を名古屋で退職する私は、店舗を開く福岡県内(私の地元です)を広く市場調査しました。そこで分かった事は、福岡県内は全国の平均よりも遥かに高い海外製品依存の市場だ!と言うことでした。
 海外製品が増え続ける事に疑問を抱いていた私は、国内産の確かな物をお届けするをモットーにしました。そこで原産国表示と品質表示の店としてスタートしました。
 それは国産品と海外製品の住み分けのためのツール作りから始まり、そのツールは年を追う毎に進化発展して、後に述べるようなツールとして現在に至っています。
    ◇
 此処で転写(シルクスクリーン)蒔絵を模造品と言い切る事には様々な見方が有ると思います。実はそこが狙いです。転写物を高蒔絵と表示して何が悪い!と言う方は未だマシ(本音は論外)、えっ!転写にエポキシ樹脂系だったの?と驚かれる方も多いはずです。お店によっては金箔の違いも説明できずに自分を一人前と思っている様な、言って見ればインスタントコーヒー(あるいは缶コーヒー)を出している喫茶店もあり、私は本物のコーヒーをお客様に提供することが大切だと思います。
 例えば、あるお店で次のような表示をしているとします。
「原産国=日本・中国 金粉=一号色・四号色 下地=合成漆下地 上塗り=合成漆 蒔絵=高蒔絵」。しかし、高蒔絵が転写物であるとすれば、どうでしょうか?
 問屋さんのカタログにも高蒔絵(製品によっては貝入)と明記されている製品もありますが、問題は高蒔絵の内容です。
 当社がメインとしている製品は転写物などではなく、本漆の手描き蒔絵製品ですが、お客様は同じ高蒔絵として認識されます。
 私には、そのような表現は曖昧で優良誤認させる表示でおかしいと思いますが、お客様によっては表示も信用して頂けません。
 そこで、誰でも違いのはっきりと分かる仕組みが必要であると感じるようになり開発したのが写真にあるようなツールです。ここでは平蒔絵から高蒔絵、磨き蒔絵までの内容が一目で分かる内容となっています。
 また、金箔と塗りに関しても一目で違いが分かるツールを開発しました。
 現在海外産の多くは四号色の金粉仕上げを高級品としていますが、それはあくまで量産の都合で、伝統技法では漆で箔押しをすることや、同じ一号色の金箔でも漆箔だとこんなにも色艶、そして箔付き(着き)の強さにも違いが出る事を強調しています。
 また、塗りに関しては漆と漆以外の塗料の違いを分かりやすく表現したパネルも作成しました。
 先日鹿児島川辺産地がピーク時の十五%まで生産量が激減して後継者難の状態になっていると記事に有りましたが、この問題は実は業界全体の問題です。
 仏壇の仕事が減少した分、各地で行われている寺院工事などには、多くの川辺の職人さんが下請けとして行っているので、仕事としては維持できていると思いますが、本業の仏壇で継続が難しくなることは、重大な文化的損失と私は見ています。
 此処までなってしまった原因は色々有ると思います。海外で簡単に模倣出来るレベルの仕事しかしていなかった、とも言えますし、それが、海外製品の氾濫を招いているのではないでしょうか。国内でしか出来ない漆、蒔絵、漆箔などで中国に差を付けるべきです。
 今、大手メーカー、大手問屋、大手小売夫々競い合って中国製の金仏壇を取り扱っていて、一昨年の輸入本数が金仏壇唐木仏壇を合わせて約三十万本ですから市場規模を上回る量が供給者側の都合で氾濫していて表示義務も無いので安易に海外製品に飛びついていると言えます。
 このことが市場に停滞感を招き、不況が加味されているのではないでしょうか?
 当社では、開発したツールを活用することで、お陰様で毎年新規のご紹介者が増えて居ますし、売上の占める割合も国内産の拘り金仏壇が主になりました。
    ◇
 先にも述べましたが、曖昧な表現で優良誤認させる表示をしても、商売としては永く続かないと思います。
 縮小する市場は否応なく淘汰を呼びます。お客様から貴方のお店がないと困ると言われるお店になっているかが問われる時代です。それが九年間実践してきた私の結論です。今大切なことは国内産製品と海外製品の住み分けを急ぐことだと思っています。
 私の開発したツールは言わば国内産金仏壇の強み際立たせツールです。
 この様な表示方法を有効に使えば、原価で半額近い海外製品と同じ土俵で競う事も、決して困難な事では無いのです。何割かの個人店がこの表示を始めれば、業界は簡単に変わると思います。
 そのとき表示基準は自然発生して来ます。経営者がその地域に合ったグレードの本物を発信して、どれだけ多くのお客様に価値観を共有していただけるのか、そうやって行くことがブランド化であり、生き残りの方法だと思います。むしろピンチをチャンスに変えて行ける仕組みがこのブランド化です。砂上の楼閣は何時か倒れます。
 今海外製品の依存度を高めて行って、曖昧な表示で説明責任を果たしたように思うことは、自らの首を絞める行為だと私は思います。
 今回、この文章を皆さんに投げかけることによって、少しでも業界が良い方向に進むことを願っています。
 賢明な経営者なら今のうちに、方向転換を図るべきです。

宗教工芸新聞2008年3月号掲載
小社HP「仏壇店に行ってみよう」
http://www.butsudan.kogeisha.com

第十五回三河仏壇展示会 三河仏壇振興協同組合 [宗教工芸新聞平成21年3月号]

 三河仏壇振興協同組合主催による第十五回展示会が三月七日・八日の二日間、刈谷商工会議所大ホールで開催された。
 後援は中部経済産業局、財団法人伝統的工芸品産業振興協会、愛知県伝統的工芸品産業振興協会、愛知県、刈谷市、岡崎市、知立市、刈谷市教育委員会、刈谷市仏教会、刈谷商工会議所。
 三河仏壇は平成二十年六月二十七日に地域団体商標(地域ブランド)に認証登録されており、三河仏壇振興協同組合員により製造加工(全ての工程)されたものだけが三河仏壇と表示できることになった。
 同組合では検査委員会による検査基準に合格したものに認定証紙を貼付して表示している。「伝統的工芸品三河仏壇」、「組合保証品三河仏壇」、「組合推奨品三河仏壇」、従来の形にとらわれない新しいタイプの「三河仏壇」の四つのグレードに分けて販売しており、今回の展示会においても前記の表示が行われた。
 また品質・素材の表示、製造にたずさわった職人の一覧や検査合格証も各製品に見られ、安心と信頼をテーマにした物造りの姿勢を強調。仏壇の展示と併行し、場内では八職(錺金具・彫刻他)や念珠の製作実演、体験コーナー(蒔絵・写仏他)、記念品(線香・お香他)の配布、アンケート、「購入してみたい仏壇」の投票方式の作品コンクール、三河仏壇職人が手がけた作品(屏風、木彫、華鬘、花器、漆器、名刺ケース、額他)など様々な企画を用意。初日は同組合榊原理事長が仏画をテーマにした講演会を午前と午後の二回にわたり行い好評であった。
出展企業
杉浦佛壇店(刈谷)、林川仏壇店(刈谷)、佐藤佛檀店(刈谷)、愛知屋総本店(知立)、黎光堂(知立)、愛知屋仏壇本舗(岡崎)、中根佛壇店(岡崎)、永田や仏壇店(岡崎)、近藤仏壇店(安城)、ぶつだんの橋本屋(安城)、つづき仏壇店(額田郡幸田町)、平林仏壇店(豊田)、吉田佛壇店(豊田)、浅井仏檀店(西尾)、永代屋(西尾)、つちや仏壇店(西尾)、大和屋仏檀店(西尾)、三河仏壇伝統工芸士会、三河仏壇八職会 

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宗教工芸新聞2008年3月号掲載
小社HP「仏壇店に行ってみよう」
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品質保証カードとポスターを制作  大阪唐木銘木仏壇同業組合 [宗教工芸新聞平成21年3月号]

大阪唐木銘木仏壇同業組合は製品内容を示す品質保証カードとシールを作り、顧客に対して大阪唐木銘木仏壇の信頼をより強くアピールする取り組みを開始した。
 今回製作された品質保証書は「ゴールドマーク」と「レッドマーク」の二種類。ゴールドマークは「伝統的な技術、又は技法により製造され、唐木銘木材を主たる原材料として、熟練した職人が製造した製品のみを保証」するマーク。
 一方レッドマークは「伝統的仏壇のみならず、都市型仏壇、デザイン仏壇等、家具材を使用した仏壇も含め、大阪唐木銘木同業組合員の工場、職人によって組立及び仕上げ加工をした製品を保証」するマーク。
 組合員である第一木材工芸の長竹浩社長は「この保証書は品質はもとよりのこと、お客様との絆を作り上げるもの。大阪では現在も多くの唐木仏壇や都市型仏壇が製作されており、地元大阪、関西はもちろんのこと、全国の仏壇店様、そしてお客様に大阪唐木銘木仏壇の存在を知って欲しいと思います」と語っている。
◎えびす工芸 堺市美原区多冶井四八八 TEL〇七二(三六二)三六五三 FAX〇七二(三三六)〇〇三三

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宗教工芸新聞2008年3月号掲載
小社HP「仏壇店に行ってみよう」
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全てに本物を追求する姿勢がお客様からの支持を生み出す 美川佛壇協同組合 [宗教工芸新聞平成21年3月号]

仏壇にとって偽物とは何か、というスタイルを明確に打ち出しているのが石川県の美川佛壇協同組合。製品内容に関して言えば「透明度」が最高ランクの仏壇店の一つであることは間違いない。
 透明度は誰がどのような素材を用いて、どのような技法で作られたのか、という点を明かにすることで生まれる。その透明度が本物度を生み出すが、業界に蔓延しているのは不透明さだ。実際のところ、業界の一種の旨みはこの不透明さがもたらしてきた。もしかすると、業界は不透明という旨みに慣れすぎてしまったのかもしれない。
 仏壇販売を取り巻く不透明さが日常的になっているため、美川仏壇の透明度は逆に目立つものとなり、お客様の評価を得ることになる。
 美川仏壇の製品内容は厳格に定められている。 例えば合板の使用を認めないという点は、多くの伝統的工芸品の基準を上回るものだ。合板の使用は伝統的工芸品産地によってはこれを認めている。その最大の理由は価格だ。合板を用いることで作業効率は上がり、単価を求めることが出来る。
 金箔に関していえば、伝統的工芸品はどのような基準を持つのだろうか。美川佛壇協同組合の北島仏壇の場合は板物(平場)も小物(彫刻類)も縁付けの一号色が用いられている。
 蒔絵は文様を高く盛り上げる錆上げ蒔絵が美川仏壇の大きな特徴の一つになっている。錆上げとは漆と砥の粉を練り合わせた「錆」により、文様を盛り上げる技法のこと。
 下地には本堅地錆付を用いる。塗りのランクを決めるのは仕上げ塗り(上塗り)であると同時に下地である。
 美川仏壇で言う本堅地とは漆に輪島の地の粉、さらに米ノリを混ぜた堅地のことで、漆工芸としては最高の下地だ。
「漆塗り」や「呂色」は金仏壇の一般的な評価であるが、「漆塗り」「呂色」と称しても下地では化学塗料が使われている製品が大半というのが現実ということを思えば、美川仏壇の基準の高さは誰しもが認めるはずだ。 また、金具に関しても全てを職人の手でまかなう。銅による金具ではなく真鍮素材の金具とすることに対しての理由も「真鍮金具だと修理の時に取り替える必要がない」と明確だ。
 美川仏壇は地域団体商標を取得して以降、偽物は一切「造らない、仕入れない、売らない」を守っている。実際に北島仏壇の場合は、県外からの仏壇仕入れをこの八年間行わず、在庫として残る県外製品を販売するだけであるという。
 また、地域団体商標の認定以降、お客様に対して美川仏壇の真贋を見極める鑑定事業も実施することで、美川仏壇の定義付けをより明確なものとしてきた。
 例えば県外から製品を仕入れ、美川産地で漆を塗り、蒔絵などを施して製品化した製品も、それを美川仏壇として販売することは許されない。
 なぜこのような規定にこだわるのかと言えば、美川の職人が作る仏壇が、美川仏壇という製品名の下、県外製品や海外製品との競合、蒔絵など
加飾だけを施してきた製品との競合を強いられ、産地の衰頽を招いてきたからだ。
 伝産指定産地の将来への鍵の一つがこの美川産地にはある。
(資料提供は北島仏壇)

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宗教工芸新聞2008年3月号掲載
小社HP「仏壇店に行ってみよう」
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シンポジウム「曹洞宗はどこに進むのか」 仏壇店にとっても関心のある寺院の今後 [宗教工芸新聞平成21年3月号]

二月二日、京都駅に隣接するホテルグランヴィア京都において、「曹洞宗はどこへ進むのか?その将来的ビジョンを探る」と題したシンポジウムが開催された。タイトルには「山路・石川宗議と語る」とあり、これは曹洞宗宗議会議員である山路純正宗議会議員と石川順之宗議会議員に質問をぶつけるという意味だ。    ◆ 
 今回の企画は京都總和会の清水澄明師によって立案実施されたもの(總和会は曹洞宗における総持寺会派)。
 曹洞宗はどこに行くのか、というテーマは、曹洞宗あるいは曹洞宗僧侶が今何をすべきなのか、ということを俎上にするものだ。
 金融危機、リストラなど様々な問題が噴出する社会であるが、曹洞宗は何もやっていないという前提がそこにはある。その前提に対しては、例えば寺院経済という問題が覆い被さる。檀家数が五十件以下では兼職せざるを得ない、つまり兼業寺院をせざるを得ない、という現実がそこにはある。パネラーの野原泰見師の「檀家と共に農作業に励む」という言葉は今回のシンポジウムの中で一番胸を打つ発言であった。
 また、能登春夫師の「宗派を越えて勉強会を実施している。シスターが雨の中でも通ってくる」という言葉も「なるほど!」と思わせるものであった。
 シンポジウムのレジュメには「道元禅師と禅、その法孫である我々、しかし曹洞宗寺院の多くは座禅会さえ実施していない」ことも指摘されていたが、パネラーからは「参禅会の人数は少しずつ増えている」という報告もなされた。
 不思議な感じがしたのは、二三の方が「後継者を育てるための妻帯」を肯定する発言をわざわざしたことだ。僧侶が妻帯することに対しての何か後ろめたさがあるのだろうか。本来を言えば妻帯は破戒であり、出家と在家の違いを曖昧にさせている。ただ、僧侶が妻帯し後継者を持つということがあまりにも当たり前になっており、僧侶も在家もこのことに鈍感になっている。
 世襲に関して言えば歌舞伎や落語という伝統産業の世界では当たり前のことであり、中小零細企業も当然のことだ。小さい時から家業を見ることのできる子弟は後継者として最適だ。であるから、寺院が世襲制度であることには個人的には賛成だ。
 臨済宗という立場で参加された町田宗鳳師は「僧堂の改革」を強く主張されたが、どうやら参禅道場である僧堂も大分いい加減で、権威主義に陥っているらしい。町田師は「心理学、医学などを含めた教育が必要」ということも主張されたが、正鵠を射る主張だ。仏教学・宗学、医学・心理学などをトータルで体得できる人材を育成するプログラムは必要だ。
 それにしても、住職という仕事のなんと守るべき物の多いことか、と改めて感じた。守るべき事ではなく、守るべき物、である。今回登壇した僧侶の方々の話を聞いていると、寺を守るということが、自分の生活を守るとしか聞こえてこないのは何故だろう。
 寺を継続させるためには、後継者が必要であり、後継者は大半の場合、住持の子弟である。基調講演をされた山折哲雄氏は「師匠、師匠と言うが、その大半は父が師匠。師匠と言えば父という感覚はおかしい」と指摘されたが、この指摘は外部から教団を見た場合の「おかしさ」の一つだろう。
 寺が無くなると困るのは、檀家ではなく僧侶側ではないだろうか。少なくとも檀家の困り方と、僧侶の困り方には質的な違いがある。
 寺檀制度には競争が基本的にない。何故競争がないのかと言えば、檀家が主に墓(墓地)で寺院に拘束されているからだ。自由に寺を選ぶことができない。自由に選ぶということは、「あっちの住職の方が人情味があるから、寺を移ろう」ということだ。競争がなければ停滞するのは当然のことだ。競争がないことは評価がないことであるから堕落もする。
 このことを思えば曹洞宗はどこに行くのか、というテーマは、おそらく議論だけで終始する。檀家制度が一挙に崩壊しないからだ。
 基調講演を行った山折哲雄氏は「霊場がある山の裏側に出来る産廃処理場」という問題を提議された。そこで山折氏はインド・ガンジスの辺が火葬場になっていることを挙げ、「聖と俗の同居こそが宗教」であると語ったが、例えば伊勢神宮や熊野古道のほとりに、そのような産廃処理場を作る計画が持ち上がった時、同様の理屈で氏は産廃処理場を受け容れることができるだろうか。
 ちなみに山折氏は近畿を中心とした二府四県の百二十五の社寺が集まる神仏霊場会の発起人となっているが、その社寺の中には東大寺や伊勢神宮も含まれており、神仏習合という日本の宗教風土を再度肯定する作業は素晴らしいと思った。
 世代交代の中で、檀那寺を自分のお寺として護持するという意識は確実に薄れる。一方で寺院は在家とあまり変わらない生活を送る。
 出家者がこのようなシンポジウムを持つ一方で、在家側は何を寺院に求めるようになるのだろうか? 
 当たり前になっていることを当たり前と思わない心の作業が必要かもしれない。

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宗教工芸新聞2008年3月号掲載
小社HP「仏壇店に行ってみよう」
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梅栄堂(堺) ニューヨーク国際ギフトフェアーに出展 [宗教工芸新聞平成21年3月号]

梅栄堂(堺)はニューヨーク国際ギフトフェアー(一月二十五日から五日間)に出展し、同社が開発した海外向け企画商品「IMAGINE」シリーズが好評を博した。
 同社は昨年の冬期、夏期にも同展示会に出展していたが、このたび初めて海外向けの製品を開発。これは現地代理店からの要望もあり、アメリカ人のライフスタイルに合わせた商品とパッケージを用意することになった。
 またお香、香皿、香立てをセットにした商品も出展、香皿と香立ては社会福祉法人やまびこ作業所(滋賀県)に依頼。同作業所の陶芸にたずさわるスタッフは十~十五年のキャリアを持つベテランばかり。黒のモダンな干支の香皿と可愛らしい香立てを製作した。
 いずれの商品も海外のバイヤーから注目を集め、今後も海外マーケットに向けて歩み続ける。
 やまびこ法人の島田支援員は「障害を持つ人の仕事の幅が広がり、一般企業と同じ扱いで商品の価値を認めてくれたことがうれしい」と話す。

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最寄りの仏壇仏具店へお問い合わせ下さい
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高岡斎場に祭具一式を寄贈  高岡仏具卸業協同組合 [宗教工芸新聞平成21年3月号]

高岡仏具卸業協同組合(山本文夫理事長)は四月一日から稼働する高岡斎場(高岡市グリーンパーク内)の告別室四室に設置する祭具一式四セット(約五百万円)を寄贈した。今年は高岡市の開町四百年、同組合設立三十周年、高岡仏具会設立五十周年などが重なり、記念すべき年となった。三月二日に高岡斎場の竣工式が行われ、同組合山本文夫理事長をはじめ組合役員が出席した。
 寄贈された祭具は坪型五具足やりん、火立、金メッキを施した常花九本立、香炉などで、全て青銅製。角香炉には高岡市の市章が飾られ、宗派によらず使える様式。同組合は金属製仏具で全国販売高の九十%のシェアを誇り、最近では産学協同による新製品開発にも力を入れる。

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宗教工芸新聞2008年2月号掲載
小社HP「仏壇店に行ってみよう」
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